研究課題/領域番号 |
12877096
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩坪 威 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (50223409)
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研究分担者 |
富田 泰輔 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30292957)
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キーワード | パーキンソン病 / Lewy小体型痴呆症 / α-Synuclein / 生化学マーカー / 髄液診断 |
研究概要 |
α-シヌクレインはパーキンソン病、Lewy小体型痴呆症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)などで不溶性線維を形成して脳に蓄積するシナプス蛋白である。遺伝学的、病理学的知見から、α-シヌクレインの凝集は神経細胞死に深い関連を有する変化と考えられている。昨年度までに我々はDLBなどのシヌクレイン蓄積症の脳で不溶化したα-シヌクレインは、C末端側に位置するセリン129が高度にリン酸化されていることを蛋白化学的に同定した。アルツハイマー病(AD)脳神経細胞に蓄積するタウ蛋白がやはり高度のリン酸化を受けており、脳脊髄液中のリン酸化タウがADのよい生化学的診断マーカーとなることを考え合わせると、脳脊髄液中のα-シヌクレイン、特にリン酸化α-シヌクレインを定量することはシヌクレイノパチーの診断に有用である可能性がある。我々はα-シヌクレインのセリン129位のリン酸化を特異的に認識するモノクローナル抗体#64を樹立し、これを用いた酵素免疫測定法(ELISA)の作出を試みた。サンドウィッチELISA法の捕捉抗体として、α-シヌクレインのC末端側を認識するモノクローナル抗体#102を使用し、直接HRP標識したリン酸化依存性抗体#64を検出抗体とする系を組み立てた。このELISAは、カゼインキナーゼ2でセリン129をリン酸化したリコンビナントα-シヌクレインをカットオフ値4ng/mlで検出し、非リン酸化α-シヌクレインとは反応しなかった。DLB脳抽出物尿素可溶画分に回収されるリン酸化α-シヌクレインの定量的検出にも本ELISA系は有効であった。脳脊髄液に適用するために、α-シヌクレインのアミノ末端側と結合する高親和性の捕捉抗体を用いることなどにより感度をさらに改善すべく、系を改良中である。
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