研究課題/領域番号 |
12877101
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
松本 陽 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経病理研究部門, 参事研究員 (90173921)
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研究分担者 |
神山 邦子 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経病理研究部門, 研究員 (80301795)
田沼 直之 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経病理研究部門, 研究員 (00281676)
松原 四郎 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経病理研究部門, 研究員 (00143884)
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キーワード | 免疫性神経疾患 / T細胞レセプター / DNAワクチン |
研究概要 |
本研究の最終目標は多発性硬化症患者に抑制免疫を誘導して、活性化T細胞の機能をおさえ、効果的に再発を防止できる有効な遺伝子ワクチンを開発することにある。そのためにはいくつかの条件を満たさなければならない。まず、ワクチン自体は不活性で、構造的には疾患惹起性T細胞のT細胞レセプターに類似している必要がある。T細胞レセプターはα鎖β鎖の二量体を形成し、それぞれ可変部位、遺伝子組み換え部位、定常部位から構成されているが、安定的な抑制免疫を誘導するには、T細胞レセプターのどの部分が重要であるのかはわかっていない。本年度、β鎖単独、α鎖β鎖二量体を発現しうる遺伝子ワクチンを作製し、その有効性を多発性硬化症の動物モデルである自己免疫性脳脊髄炎の抑制効果で検定した。その結果、両者の間に顕著な抑制効果の差はなかった。今後は、投与回数や投与方法(筋注か、遺伝子銃による投与か)についても検討を加え、より有効なワクチン療法を開発する。 これと関連して、遺伝子ワクチンの投与により、ワクチンに反応する調節性T細胞や抗体が誘導されたかを検定する手技の開発を試みた。まず抗体産生については、遺伝子ワクチン含まれるT細胞レセプター遺伝子と同じ配列を発現ベクターに組み込んで組み替え蛋白を作成し、これを用いたELISA法を行った。この結果、ワクチン投与により自己免疫性脳脊髄炎の発症が抑制された個体でも、抗体産生は感度以下であった。このことは、ワクチンの構造や投与法を改善することにより、より有効なワクチン療法を開発する余地のあることを強く示唆している。
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