研究概要 |
1.ラット右室から摘出したトラベクラを用いた。張力を力トランスデューサーで、その際の細胞内カルシウム変化をフラ2で、サルコメア長をレーザー回折法で測定した。さらに膜電位を可動性微小電極法で記録した。高頻度電気刺激(2-3Hz,7秒間)によって後収縮とカルシウム波を誘発したところ、カルシウム波に一致して、遅延後脱分極が記録された(n=8)。 2.高頻度電気刺激の最終刺激に同期して一過性の5あるいは10%伸展(0.15-0.2秒間)を加えた。これらの伸展刺激によって、最終刺激から後収縮あるいはその際の細胞内カルシウム上昇のピークまでの時間が有意に短縮し、そのピーク値も有意に増加した(n=10)。それらの増加は伸展の程度と有意な相関を示した。 3.一過性の伸展刺激によって、最終刺激から遅延後脱分極のピークまでの時間が有意に短縮し、そのピーク値も有意に増加した(n=8)。 4.一過性の伸展によって、後収縮時のカルシウム波の伝播速度は有意に増加し(n=7)、その変化は伸展による発生張力の変化と有意な相関を示した。 【考察と今後の展開】これらの結果はトラベクラ長の変化による収縮蛋白からのカルシウム放出がカルシウム波の伝播速度の変化に関係すること、カルシウム波の伝播速度が遅延後脱分極の大きさに関係することを示唆している。現在、カルシウム波の伝播速度と遅延後脱分極の大きさとの関係を検討中であり、今後はガドリニウム、カフェインを使用予定である。
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