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2000 年度 実績報告書

腹腔内異物周囲に形成される肉芽組織を用いた自己血管再生法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 12877104
研究機関東京大学

研究代表者

永井 良三  東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60207975)

研究分担者 小室 一成  千葉大学, 医学部, 助教授 (30260483)
キーワード平滑筋 / 血管 / 人工臓器
研究概要

動脈硬化や動脈瘤に対して今日、膨大な数の血行再建術が行われている。血行再建には静脈グラフトや人工血管が使用されるが、再建術後の吻合部や中間部の閉塞によりバイパス機能が廃絶することも日常的である。近年、生体内には多分化能を持つ幹細胞が存在し、神経や心筋細胞へも分化が可能であることが明かとなった。平滑筋細胞に関しても肉芽組織内に増生する筋線維芽細胞myofibroblastは組織内で平滑筋に分化することが知られている。しかしながら内皮細胞と平滑筋が円筒状に構成された立体的な血管の再生は従来不可能であった。もし自己の幹細胞から内皮細胞と平滑筋細胞が再生され、一定の長さを持つ血管が再生されるならば、拒絶反応のない理想的なグラフトが得られる。本研究では腹腔内にプラスティック等の棒状異物を挿入し、異物周囲に肉芽組織と抗血栓機能をもつ上皮細胞の増生を促す。異物を除去し、筒状構造物の内側と外側を翻転することにより内皮様上皮に裏打ちされ管腔構造をもつ再生血管を作成することができる。
本計画では肉芽の増生に適した異物の種類と長さ、癒着防止の条件、さらに上皮細胞による被覆に適した条件を検討する。次に、肉芽組織内の筋線維芽細胞の平滑筋細胞への分化を、我々が開発したミオシンアイソフォームと転写因子BTEB2を指標にして検討する。
本年度は、ラットとウサギの腹腔内にプラスチックまたはシリコン等の異物を植え込み、異物の外壁に肉芽組織様の細胞層の形成を促す。肉芽組織の形成されるための条件、すなわち異物の種類、長さ、腹腔内への留置期間を経時的に検討した。次は、異物周囲に形成される筋線維芽細胞がどの程度平滑筋細胞に分化しうるかを、平滑筋特異的分化マーカーであるSM1とSM2ミオシンの発現により、また脱分化平滑筋のマーカーであるSMembミオシシとその転写因子BTEB2により検討する。また筋線維芽細胞の構造を電子顕微鏡で解析する。さらにα受容体刺激による収縮能を解析する。最終的には、再生血管をラットまたはウサギの頚動脈や大動脈に吻合し、in vivoで血管として機能するがを明らかにする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Ogata T,: "Inducible expression of basic transcription factor-binding protein 2(BTEB2), a member of zinc finger family of trnascription factors, in cardiac allograft vascular disease."Transplantation. 70・11. 1653-1656 (2000)

  • [文献書誌] Ogata T,: "Inducible expression of BTEB2, a member of the zinc-finger family of transcription factors, in cardiac allograft arteriosclerosis."Transplant Proc. 32・7. 2032-2033 (2000)

  • [文献書誌] Han Y,: "Phenotypic modulation of neointimal smooth muscle cells during the evolution of trnasplant renal arteriosclerosis determined via myosin heavy chain expression."Transplant Proc. 32・7. 1786-1788 (2000)

  • [文献書誌] Sata M,: "A Mouse Model of Vascular Injury that Induces Rapid Onset of Medial Cell Apoptosis Followed by Reproducible Neointimal Hyperplasia."J Mol Cell Cardiol. 32・11. 2097-2104 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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