研究課題/領域番号 |
12877116
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
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研究分担者 |
菅 弘之 国立循環器病センター研究所, 所長 (90014117)
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
奥山 博司 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30133333)
荒木 淳一 岡山大学, 医学部, 助教授 (80271055)
八木 直人 高輝度光科学研究センター, 実験部門, 主席研究員 (80133940)
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キーワード | 放射光 / アクチン / ミオシン / 乳頭筋 / スターリング機構 / 分子立体構造 |
研究概要 |
心筋収縮がアクチンとミオシン間のクロスブリッジ形成によりATPの化学的エネルギーを力学エネルギーに変換して行われることはよく知られているが、アクチン・ミオシン間の分子的相互作用の収縮弛緩による経時的変化は不明である。兵庫県播磨リサーチパークに、日本原子力研究所と理化学研究所が共同で建設した大型放射光施設(Super Photon Ring 8 GeV:SPring-8)は、平成10年度に稼働を開始したが、世界最大のシンクロトロン放射光施設であり、X線光源としての性質は、高輝度・単色性の2点において、アクチン・ミオシン分子によるX線回折像を連続的に計測可能であり、心筋収縮弛緩の分子メカニズムを経時的に解明できると考えられる。本研究の目的は、SPring-8のBL45狭角散乱光(波長1Å、強度5×10^<11> photon・s^<-1>)を用いて、ラット乳頭筋にX線を照射し、心筋収縮弛緩によるアクチン・ミオシンの立体構造と相互関係の経時的変化を明らかにすることである。本年度では、特に、心筋収縮性増大および減少の分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。ラット右室乳頭筋標本による等尺性収縮では、発生張力が心筋長増大により増加するスターリング機構が観察された。この時、X線回折像によりアクチン・ミオシンの間隔は筋長増大により減少すること、すなわちサルコメア長も筋長と同じ変化をすることが示された。さらに、ミオシンからアクチンへの質量の移動量は発生張力と比例していた。以上、筋長増大による発生張力の増加は、分子立体構造において、形成されるクロスブリッジ量に比例することが直接確認された。
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