研究概要 |
(1)G-CSF受容体の変異解析: 重症先天性無顆粒球症(SCN)患児3症例においてG-CSF受容体(G-CSFR)の変異の有無をRT-PCR-SSCPを用いて解析した。細胞内ドメインの解析では、3例全症例で移動度の異なるバンドを認めず、変異は存在しないと判断された。一方、細胞外ドメインのRT-PCR法による解析では、1症例で異常はサイズの増幅が認められた。現在、患児EBV-transform B細胞株を用いてゲノム上での解析を行っている。 (2)STAT3分子の異常解析: SCNの病態に関与するSTAT3の解析をUF-1細胞株を用いて行った。[方法]UF-1はG-CSFおよびIL-6刺激によりアポトーシスが誘導されること(Yoshinari et al.Tohoku J Exp Med 189:71,1999)から、G-CSFとIL-6シグナル伝達の共通分子であるSTAT3蛋白の発現および活性化(リン酸化)を検討した。APL細胞対照としてNB4、サイトカイン対照としてGM-CSF,IL-3を用いた。[結果]G-CSFあるいはIL-6刺激時にUF-1のSTAT3の過剰な活性化が認められた。この所見は、GM-CSFあるいはIL-3刺激UF-1、およびサイトカイン刺激NB4には認められなかった。[考察]G-CSF伝達経路でのSTAT3活性がG-CSFによるアポトーシス制御に深く関与していることが示唆された。
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