癌患者ではT細胞やNK細胞の細胞障害能が低下しているとの報告があり、まず悪性黒色腫患者由来のVα24NKT細胞が活性化された時に細胞障害能を呈するか否かを検討した。その結果、13名の悪性黒色腫患者由来の末梢血中のVα24NKT細胞数は臍帯血や成人健常者の末梢血中のVα24NKT細胞数に比べて有意に減少していた。しかしながら、患者のVα24NKT細胞はα-GalCerに反応を示し、細胞数が14日間の培養で増殖をみとめた。細胞数の増殖は119倍から1449倍で健常者と同等であった。さらに、患者由来のVα24NKT細胞はDaudiリンパ腫細胞やSK-Mel-28悪性黒色腫細胞などの種々の腫瘍細胞に対して、細胞障害能を発揮した。 次に、免疫療法に際して患者の樹状細胞の機能を評価することが重要であるので、悪性黒色腫患者由来の樹状細胞がα-GalCerを抗原提示してNKT細胞を刺激することができるか否かを検討した。そのため、ヒトの樹状細胞がマウスVα14NKT細胞を刺激することを利用して、マウスVα14NKT細胞を指標としてα-GalCerで刺激した悪性黒色腫患者由来の樹状細胞の抗原提示能を検討した。その結果、悪性黒色腫患者由来の樹状細胞の刺激指数は14ないし74であり、健常者由来の樹状細胞の刺激指数の24ないし40と同等であった。それゆえ、悪性黒色腫患者由来の樹状細胞は健常者由来の樹状細胞と同様にマウスVα14NKT細胞に対して有意に増殖反応を誘導できることが示された。
|