研究概要 |
培養ヒト表皮細胞を用いて,蛍光抗体間接法にて,各種膠原病患者血清(全身性強皮症10例,全身性エリテマトーデス10例,皮膚筋炎10例)による抗核抗体価をあらかじめ測定し,紫外線照射によってアポトーシスを誘導した培養ヒト表皮細胞を基質とした抗体価との比較を試みた。 各種膠原病血清はいずれも抗核抗体陰性あるいは抗体価が低値のものを選択して使用した。紫外線照射前の陽性率は,全身性強皮症40%,全身性エリテマトーデス70%,皮膚筋炎30%であった。 紫外線照射後に抗核抗体が陰性から陽性となったものは全身性強皮症2例,全身性エリテマトーデス1例,皮膚筋炎2例であった。 また,あらかじめ陽性であったものの。紫外線照射後に4倍以上抗体価が上昇したものは全身性強皮症1例,全身性エリテマトーデス2例,皮膚筋炎1例であった。以上の結果は,これらの膠原病患者血清中にアポトーシスを誘導された培養ヒト表皮細胞に特異的な自己抗体が存在することを示唆している。 次年度は,同様の実験をTGF-βによってアポトーシスを誘導したヒト臍帯静脈由来血管内被細胞によっても施行する予定である。更に,免疫ブロット法を用いて新たに検出された自己抗体がアポトーシスを起こしたDNAに対するものであるか,新たに誘導されたアポトーシス関連蛋白に対するものであるかも明らかにしたい。
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