研究概要 |
1.現在のDICOM画像閲覧システムは,キーボードないしマウスを利用しており,画像とキーボード,或は画像とメニューアイコンとの間の視線移動は避けられない.画像診断の際にこうした視線移動は極力少ない方が読影環境として理想的であり,この点を踏まえ本研究が始められた. 2.タッチスクリーン式ディスプレイを用い,指などの接触を検知するための素子の配置や特性の検討,接触感知の方式とその認識ソフトウェアについて評価を加え,画像供覧におけるページングや濃度調整,拡大・縮小等の操作性について比較検討を行った. 3.一方,本研究を始めて約1年経過した頃より,ハードウェアの低価格化と開発・普及が急速に進み,平成13年早々にはノートパソコンでもタッチスクリーン方式のハンドヘルドパソコン(IBM社製TransNoteなど)が相次いで市販される予定となった.インターネット閲覧にしても従来のキーボードやマウスからタッチスクリーン方式への変化の兆しもあり,テレビのニュース配信にも登場することとなってきている.こうした普及に伴い,タッチスクリーン方式における接触の認識とそのソフトウェア開発という本研究の課題の1つは,ほぼ市販機により今後対応可能となるであろうかと思われた. 4.次に,液晶ディスプレイの画質についても検討したが,これは現在利用している白黒高精細モニタに比し,分解能の点で明らかに劣っており,複数の専門医による読影評価を行って描出能の違いを検討した.その結果,分解能そのものが問題となることは比較的少なく,むしろ液晶ディスプレイのもつコントラストカーブ,白,黒の極地付近での表現能により病変が描出できないことが時々みられ,ある程度はソフトウェアで改善可能なものもあり,今後さらに検討を重ね評価,改善すべき点と思われた. 5.以上,今年度における本研究の実施結果ならびに次年度以降の課題につき報告した.
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