研究概要 |
胸腺細胞において選択的にAML1を不活化する方法として、Lck-Creトランスジェニックマウスとflox-AML1マウスをかけ合わせる。LckプロモーターはT細胞分化の最も初期から発現するため、このかけ合わせによりT細胞分化の最も初期に,AML 1が不活化されることが期待される。 まず、129/SvマウスゲノムライブラリーからAML1の第5エクソンを含む領域約15kbをクローニングした。制限酵素地図を作製後、第5エクソンの両端とそれに続くネオマイシン耐性遺伝子の端にLox-P配列を挿入したターゲッティングベクターを作製した。ES細胞TT2にエレクトロポレーションにて直線化したターゲッティングベクターを遺伝子導入し、G418によるポジティブ選別を行い、相同組換え体を選別した。さらに、この相同組換え体にpMC1-Creベクターをエレクトロポレーションで導入し、Creリコンビナーゼを一時的に発現させることでLox-P配列を挟む領域を欠失させた。ネオマイシン耐性遺伝子のみを削ったものをI型欠失、第5エクソンとネオマイシン耐性遺伝子を削ったものをII型欠失、第5エクソンのみを削ったものをIII型欠失と称するが、ここではI型欠失組換え体とII型欠失組換え体を選別した。I型及びII型欠失相同組換えES細胞を用いて8細胞期凝集法によるキメラマウスの作製を行い、さらに交配によりI型欠失ヘテロマウス(AML1flox/WT)、II型欠失ヘテロマウス(AML1Δ/WT)を得た。T細胞特異的にAML1の発現を欠失させる為に、I型欠失ヘテロマウス(AML1flox/WT)をLck-Creトランスジェニックマウスと交配させ、AML1flox/WT,Lck-Creマウスを作製した。次にこのマウスとII型欠失ヘテロマウス(AML1Δ/WT)を交配させることで目的とするAML1コンディショナルノックアウトマウス(AML1flox/Δ,Lck-Cre)を得た。この発生工学マウスを解析することで、AML1の胸腺あるいはT細胞における機能が解析できると考えられる。
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