研究課題/領域番号 |
12877156
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90181130)
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研究分担者 |
小川 誠司 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60292900)
千葉 滋 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60212049)
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キーワード | Notch / 造血幹細 / 造血発生 / 1次造血 / 2次造血 / HES-1 / paraaortic splanchnopleures / yalk sac |
研究概要 |
Notchは細胞の分化を抑制するシグナルを伝達するため、造血幹細胞の未熟性を維持したまま体外で増幅する技術の開発に役立つ可能性がある。本年度は、Notchの造血発生における役割を検討し、Notchシグナルによる造血幹細胞の体外増幅の可能'性を検討することを目的とした。胎生9.5日のNotch1ノックアウトマウスよりparaaortic splanchnopleures(P-Sp)およびyalk sac(YS)を採取し、組織培養による造血細胞の発生、P-SpおよびYS形成細胞によるコロニー形成能と同系マウス造血再構築能を検討した。N1+/-マウスのP-Spより血管内皮細胞は形成されたが、造血細胞は形成されなかった。また、野生型またはN1+/-マウスのYS細胞は、新生児マウスに移植することにより造血を再構築したが、N1+/-マウスのYS細胞は再構築しなかった。しかし、N1+/-マウスYS細胞は、血球コロニー形成能が保たれていた。したがって、Notch1はYSにおける造血前駆細胞の発生(1次造血)には必要でなく、2次造血、特に血管内皮・造血幹細胞共通の前駆細胞が、造血構築能を獲得する過程に必須であると推測された。Notchシグナル分子であるHES-1を、レトロウィルスベクター一によりマウス骨髄造血幹細胞分画(Lin-Scal+c-Kit+CD34-)に導入し、これを放射線照射同系マウスに移植することにより、造血幹細胞が試験管内およびレシピエントマウス個体内でコントールに比べ、より維持されるか否かを検討した。HES-1導入造血幹細胞は試験管内で2日間、および移植されたマウス個体で3ヶ月、コントロール細胞に比較して長く維持され、全ての系統の造血細胞を再構築した。したがって、HES-1シグナルは造血幹綱胞の体外増幅に有崩と考えられた。
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