研究概要 |
VDR欠損マウス(VDRKO)に対して24,25(OH)2D3の大量投与を行ったが、VDRKOの骨組織や、血清カルシウム、リン値には何ら変化を生じることはなく、24,25(OH)2D3が特異的な細胞内情報伝達系を有する可能性は骨においては考えがたいことが明らかとなった。一方野生型マウスに移植したVDRKO骨は、ホスト細胞の侵入を阻止した状態においても骨形成の増加を認めること、さらにVDRKO骨は、器官培養においても骨形成の促進を認めることから、VDRを介する細胞内情報伝達は骨膜性骨形成を抑制することが更に明確に示すことができた。また、この骨形成抑制効果はrunx2の発現抑制を介しており、この抑制にはrunx2遺伝子2kb上流のどこかに含まれる配列が重要で、その反応は骨芽細胞特異的に認められるものであることが明らかとなった。このようなrunx2のビタミンDによる抑制反応が生体内でどの時期から骨に影響を及ぼしているかを明らかにする目的で、VDRKO骨を生直後で検討してみたが、ここでもVDRKOの骨幹部の骨量は野生型よりも増加しており、骨の発生段階にまで溯る必要性が示された。 このようなVDRKO骨の結果から、Hypマウスに24,25(OH)2D3の大量投与で認められた骨量増加作用の原因は、24,25(OH)2D3の骨対する直接的な作用よりもむしろ、24,25(OH)2D3のVDRシグナルの抑制効果による可能性が強いと考えられた。
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