本研究の目的は、初代培養および樹立細胞株において前脂肪細胞から脂肪細胞への分化の過程をin vitroで再構築し、モデル動物における腸間膜因子の影響を検討することである。 本年度、前脂肪細胞の培養系樹立のために、マウスより内臓脂肪および皮下脂肪を摘出し、天井培養法により培養維持を行うことに成功した。また、樹立脂肪細胞3T3-L1細胞を用い、様々な条件による分化誘導刺激を行い、腸間膜誘導因子負荷による適切な条件系を決定した。 さらに、腸間膜由来因子に加え、内臓脂肪および皮下脂肪自体による誘導因子について検討し、これらの負荷により培養脂肪細胞の分化また成熟化の修飾が引き起こされることを発見した。現在、修飾因子の同定に向けた生化学的特性の検討を行うとともに、負荷による脂肪細胞の各遺伝子発現について解析を進めている。 これらの研究実績は当初の研究計画のほぼ100%に相当するものであり、これらの実績をもとに、来年度in vivoモデル実験系の作成、遺伝子発現検討およびその遺伝子修飾解析を予定している。
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