研究概要 |
血小板は、SIPなどの活性物質を多量に含み、癌細胞と接触し活性化をされると、P-SclectinやαIIβ3 integrinに代表される血小板上の接着分子が活性化され、癌細胞と血管内康細胞との接着を直接的、間接的に増強し、癌の標的臓器への着床効率を高め、癌の転移を促進させる。血小板には白血球と同様に何種類かのアロタイプが存在し、Human platelet antigen(HPA)として、現在6種類につきタイピングが可能である。この血小板アロタイプのほとんどは細胞接着に関与する接着分子上に存在し、転移の形成能と何らかの関係があることが推測されるため、本研究では、実際の癌患者でHPAと転移の相関性を検討中した。 [対象]大腸癌20例、胃癌15例、乳癌8例につき解析した。[結果]被検者(担癌患者)と健常人(非がん患者)との間にHPAに片寄りはなかった。転移との相関は検体の数がまだ少なく、十分な結論は導き出せなかったが、大腸癌20例中6例に転移があり、この6例はいずれも、HPA1-b/b,HPA3-b/bを示していた。日本人におけるHPA1-b/b,HPA3-blbの頻度がともに数%ー10数%であることを考えるとこのハプロタイプが転移と有意な相関がある可能性があり、さらに症例を追加し検討する予定である。
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