研究課題/領域番号 |
12877181
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
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研究分担者 |
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 助手 (40203187)
古田 一徳 北里大学, 医学部, 助手 (40209177)
高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
山科 正平 北里大学, 医学部, 教授 (90013987)
田所 文彦 北里大学, 医学部, 助手 (30207071)
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キーワード | 肝臓移植 / 臓器保存 / 高圧 / 過冷却 / 凝固温度 / 保存液 / 非凍結状態 / ラット |
研究概要 |
本研究は移植用肝臓の保存時間の延長を目指した加圧・過冷却保存法の理論的根拠と保存技術の確立を目的とするが、本年度は、肝臓の至適保存条件の決定という目標に従って実験を進めてきた。 その結果、加圧速度に関しては、0.4MPa/sec以下であれば肝臓の組織構造の破壊が最小限に留まり、肝臓は移植後も個体の生命を100%維持できることが実証された。基本的に、加圧速度は小さいほど組織傷害が小さく、理想的な速度は0.1MPa/sec以下であることが推察された。一方、UW液の加圧下過冷却温度の反復測定によって、UW液の常圧、5、10、15MPa下の凝固点が各々、-1.2+/-0.0、-1.5+/-0.1、-2.1+/-0.1、-2.5+/-0.1℃、過冷却温度は-4.0、-4.5+/-0.4、-4.8+/-0.8、-5.5+/-0.4℃(n=6)であることが示された。すなわち、加圧によるUW液の凝固点の降下に伴って過冷却温度も低下することが実証された。過去の実験でラット肝臓は5MPa(加圧速度0.03MPa/sec)・-2℃の条件下で6時間保存した後に移植された場合でも、個体の生命を100%維持できることが分かっている。従ってこの測定結果から、凍害防止剤や浸透圧調節剤などを使用せず加圧のみによって、肝臓を5MPa・-4.5℃で過冷却状態に長時間保存することが可能であると考えられる。また本年度は、肝保存液(UW液)の物理化学的組成の改良も同時に行う予定であったが、本課題に関しては、5、10%(w/v)のトレハロース・UW液を作成して、その物性(保存液の物理化学的性格)の測定を開始したに留まり、未だ測定結果を集計するまでに至っていない。 次年度からは本年度の結果を踏まえて、氷点以下の低温の細胞・組織に対する傷害のメカニズムの解明と保存液の物理化学的組成の決定という目標で研究を進める予定である。
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