研究課題/領域番号 |
12877196
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
酒井 敏行 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20186993)
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研究分担者 |
曽和 義広 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70315935)
山岸 久一 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (40128723)
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キーワード | ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / 酪酸 / p21 / WAF1 / Sp3 / 細胞周期 / 抗癌剤 / 転写抑制 / 転写活性化 |
研究概要 |
腸内細菌によって産生される食物繊維の代謝産物である酪酸が、p53遺伝子の失活した大腸癌細胞の増殖を抑制し、その抑制作用は、酪酸の有するヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害能によるp21/WAF遺伝子の発現誘導によるものであることが、以前の我々の報告により判明している。更にそのp21/WAF遺伝子の発現誘導には、そのプロモーター領域上のSp1配列に結合する転写因子Sp3が重要な役割を果たしていることも我々は見出してきた。 そこで、今回の研究課題においては、このHDAC阻害剤によるSp3を介したp21/WAF1遺伝子発現誘導機構を更に詳細にするために、Sp3とHDACを繋ぐ働きをしているであろう補因子の同定を、HDAC阻害剤による転写活性化に必要なSp3の内部領域を決定した上で、その領域をBeitとしたYeast Two-hybrid systemを用いた検討を行った。その結果、現在までに約20種の遺伝子をクローニングした。それら遺伝子のシークエンスの結果、その半数以上はGeneBankに登録されている既知の遺伝子であった。今後、それらクローニングされた遺伝子とSp3との結合性や、各種HDACとの結合性を検討する予定である。 またp21/WAF1遺伝子以外にも、HDAC阻害剤による細胞増殖抑制作用に関与する遺伝子が存在するとされることから、その可能性を検討したところ、やはり細胞周期に作用する遺伝子がHDAC阻害剤処理により誘導されることを確認した。更にその遺伝子のプロモーター領域における、HDAC阻害剤の作用を介在する反応配列を決定した。今後、この遺伝子プロモーター領域上に存在するHDAC阻害剤の作用を介在する反応配列に結合する因子の同定を予定している。
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