研究概要 |
下肢静脈瘤患者の手術で摘出した9検体の大伏在静脈の近位部を液体窒素で凍結した。対照として大動脈-冠動脈バイパス術時に採取した1検体の健常大伏在静脈を同様に凍結保存した。 凍結した標本を細かく砕いて、ホモジエナイズし(QIA shredder,QIAGEN,Germany)、total RNAを抽出した。静脈瘤、健常静脈より抽出したtotal RNAよりDNAを十分に除去し(Message Clean Kit,GenHunter Corp,USA) 逆転写酵素とTGFβ-1、IL-6、OSM、LIFの4種類のプライマーでそれぞれのcDNAを合成した。これらを2.5%アガロースゲルで電気泳動し、エチレンブロマイドで染色した。静脈瘤9検体のうち、2検体でIL-6のバンドが明らかであった。TGFβ-1も4検体に発現していた。OSMとLIFの発現は認められなかった。 今後は正常および静脈瘤の検体を増やし、様々なサイトカインの発現を検索する予定である。その後、それらのRNAを使用してデイファレンシャル・デイスプレイ法を行い、静脈瘤の形成に関与している遺伝子を探索する予定である。
|