研究課題/領域番号 |
12877203
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
山内 清明 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (00291427)
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研究分担者 |
中村 肇 香川医科大学, 京都大学・ウイルス研究所, 助教授 (70303914)
黄 政龍 香川医科大学, 医学部, 講師 (10271511)
横見瀬 裕保 香川医科大学, 医学部, 教授 (80231728)
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キーワード | 肺移植 / 拒絶 / チオレドキシン / 抗酸化剤 / 活性型ビタミンD_3 |
研究概要 |
細胞活性化に還元因子として作用する蛋白チオールのチオレドキシンは、腫瘍細胞の転写因子(PBP-2、エストロゲンレセプターなど)の活性化ばかりでなく、正常樹状細胞にも多く含まれ、抗原刺激によりT細胞に誘導されることから、チオレドキシンはNF-κBやAP-1の活性化に必要と考えている。一方、我々はイヌ肺移植モデルを用いた実験から、拒絶反応と共に肺胞マクロファージにおけるチオレドキシン発現が増加することを報告した。また最近、これまで一部の悪性腫瘍に対して抗腫瘍活性を有すると報告されている活性型ビタミンD_3がチオレドキシン発現を低下させることが判明した。以上の経過より、本研究では、肺移植において、チオレドキシンによるマクロファージ系細胞のNF-κBを介したIL-12産生や、T細胞のNF-ATを介したIL-2の産生が、抗酸化剤(NAC、エブセレン)あるいは活性型ビタミンD_3で抑制されるか、更にこれらが直接細胞性免疫能を抑制することにより拒絶を回避できるかどうか、あるいは免疫抑制剤投与量を減量することが出来るかどうかを検討する。 これまでの実験成果としては、 (1)ある種の細胞に活性型ビタミンD_3(カルシトリオール)を100〜300nMの高濃度で3〜5日間添加培養したところ、チオレドキシン発現は有意に低下した。 (2)同じ細胞に活性型ビタミンD_3誘導体(マキサカルシトール)を添加して培養したところ、30nMの濃度でチオレドキシン発現を抑制した。 以上から、マキサカルシトールが強いチオレドキシン発現抑制能を有することが示唆されたので、次年度は、マキサカルシトールや抗酸化剤がチオレドキシン発現を抑制することで、肺移植片の拒絶に関連するIL-2やIL-12産生が抑制されるか、更に、mixed lymphocyte reaction(MLR)や細胞傷害活性を低下させるかどうか、を検討する予定である。
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