研究概要 |
平成12年度は、神経栄養因子各種(BDNF,NT3,NT4/5,GDNFなど)をラット中大脳動脈閉塞モデルにおける大脳表面から浸潤させそれらの脳梗塞治療効果を、脳浮腫の抑制や梗塞体積縮小、ストレス蛋白発現に及ぼす影響などを目安に判定した。その結果、GDNFがもっとも強力な治療効果をもつことを明らかにした。そこでこのGDNFついて遺伝子のクローニングを行い、アデノウイルスベクターへの組み込みを完了した。 一方、この実験動物モデルにおいて大腸菌LacZ遺伝子を組み込んだアデノウイルスを虚血脳組織中あるいは虚血再灌流脳中に直接注入し、LacZ遺伝子の発現を経時的・定量的にmRNAレベルおよび蛋白レベルで総合的に検討し、外来遺伝子が虚血脳組織中に活性を持った蛋白として発現が充分得られるかどうかを検討した。また導入遺伝子発現効率や発現期間、組織毒性などについても検討した。さらに正常脳への遺伝子導入と比較検討することで、正常脳、虚血脳、虚血再灌流脳の3者での導入遺伝子発現の相違点を明らかにし、将来のヒトへの臨床応用を目指した病態理解を深めた。これらの研究により、本年度研究の当初目標は達成されたものと考えられる。
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