研究課題/領域番号 |
12877224
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
井上 一 岡山大学, 医学部, 教授 (70033206)
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研究分担者 |
西田 圭一郎 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (80284058)
川井 章 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (90252965)
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キーワード | 慢性関節リウマチ / メソトレキセート / 滑膜線維芽細胞 / アポトーシス / コラーゲン誘導関節炎 |
研究概要 |
RA患者より手術中に採取した滑膜組織を用いた継代培養により、RA滑膜線維芽細胞培養系(SFB)を用いた。SFBを炎症性サイトカインであるIL-1(1ng/ml),TNF-α(10ng/ml)によりあらかじめ刺激し、炎症状態を惹起した。この系にMTX(日本レダリー株式会社より供与)を種々の濃度で投与し、TUNEL染色によりDNAに断片化を生じたSFB数を算出したところ、MTXは用量依存的にアポトーシスを誘導した。アポトーシスはさらに透過型電顕およびDNA ladder formationにて確認した。陽性細胞数はMTX投与後6日でピークに達したが、サイトカイン無刺激のものにはほとんどアポトーシスは誘導されなかった。 次に、コラーゲン関節炎を惹起したC57B1/6マウスに300μg/kgのMTXを週1回筋肉内投与すると、関節炎スコアは激減し、著効を示した。MTX投与後1週における組織標本のTUNEL染色では、滑膜組織内にアポトーシスに陥った滑膜細胞が認められた。これらの結果から、MTXのRA滑膜炎に対する効果発現は一部炎症性滑膜細胞のアポトーシス誘導によるものであることが推測された。さらに、培養細胞はサイトカイン刺激によりNO産生が亢進すること、MTX投与後72時間では有意にNO産生が抑制されていることを、培養液のELISA法によって確認した。従って、MTXは滑膜細胞のNO産生にも抑制効果を発揮していることが示唆された。今後、MTXがp53をはじめ、細胞周期に与える影響、および関連する蛋白について解析をすすめ、アポトーシス誘導機構をさらに明らかにするとともに、同様の手法を用いて軟骨細胞のNO産生に与える影響についても検討をすすめる予定である。
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