1.ミニジーンによる転写産物の解析 マウスα1(XI)鎖遺伝子のエクソン5、6A、6B、7、8、9を含むミニジーンを用いて、この領域の選択的スプライシングの実験を行った。使用した細胞はRCS(軟骨肉腫細胞)、A204(横紋筋肉腫細胞)及び293細胞(胎児腎細胞)の三種類である。前二者はα1(XI)鎖発現細胞であり、後者は非発現細胞である。RCSにおいては6B-7-8、6A-7-8、7-8、6B-7、7のパターンが見られた。一方、A204では6A-7-8が見られ、293細胞も同様に6A-7-8のパターンが見られた。これは6A-7-8がこの遺伝子のスプライシングにおける基本型であり、軟骨には特別な組織特異的な因子が必要であることを示唆するものであった。さらにDNA断片を欠失させて作製したコンストラクトを用いた実験を行った。その結果、エクソン7が、軟骨型パターンを生じるのに重要であることがわかった。また、エクソン6Bにおいて、軟骨の特異的発現に重要と思われるプリン・リッチ及びAC・リッチ・エクソンスプライシング・エンハンサー領域が同定できた。今後、この因子の同定を行っていく予定である。 2.ホモロガスリコンビネーション法を用いた特定エクソン欠損マウスの作製 エクソン6-8の欠損マウスを作製する為にまずES細胞を用いてキメラマウスを作製し、さらにヘテロマウス及びホモの欠損マウスを作製した。このマウスを用いて生化学的、形態学的、発生学的に解析を行っている。又、エクソン6A及び6B領域の機能を解析する為に、エクソン6B及び6A欠損のターゲティングベクターを作製した。今後、これを用いて欠損マウスを作製する予定である。
|