大理石骨病は破骨細胞の機能不全により全身性にびまん性の骨硬化をきたす遺伝性疾患であり常染色体劣性遺伝形式をとる悪性型と常染色体優性遺伝の良性型に分類されている。常染色体優性および劣性遺伝型の大理石骨病の原因遺伝子をそれぞれ明らかにし、大理石骨病における発症機構を分子レベルで解明する事を目的として実験を行った。我々が扱った常染色体優性遺伝型の大理石骨病を持つ家系で連鎖解析を行ったところ、1p21内のmicrosatellite markerで組み換えが見られたため、この家系の大理石骨病の原因遺伝子は以前より報告されているローカスである1p21外であると考えられた。そこでトランスジェニックマウスやノックアウトマウスで大理石骨病の表現型が見られる遺伝子を大理石骨病の候補遺伝子として遺伝子変異スクリーニングを行った。それらの遺伝子はOsteoprotegerin(OPG)、Osteoclast differentiation factor(ODF)、Receptor activator of NF-kB(RANK)、TNF receptor associated factor 6(TRAF6)およびNF-kBの6つの遺伝子であるが、いずれの遺伝子にも有意な遺伝子変異を見つけだすことができなかった。一方、常染色体劣性遺伝型の大理石骨病の原因遺伝子に関しては研究期間中にFrattini等が一群の常染色体劣性遺伝型大理石骨病は破骨細胞特異的な小胞体型プロトンポンプのサブユニット(TCIRG1)の欠損によるという論文を発表した。そこで我々の症例でもそのTCIRG1遺伝子の異常を検索した結果、両方の対立遺伝子にそれぞれ異なる遺伝子変異が見つかった。日本人の常染色体劣性遺伝型大理石骨病においてもTCIRG1遺伝子異常で起ることを示した。
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