研究課題/領域番号 |
12877236
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
村原 正隆 東海大学, 工学部, 教授 (40166301)
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研究分担者 |
中島 知隆 東海大学, 医学部, 講師 (90227794)
浜田 一寿 東海大学, 医学部, 助教授 (30129605)
福田 宏明 東海大学, 医学部, 教授 (40051388)
大山 龍一郎 東海大学, 工学部, 助教授 (40233291)
小林 邦彦 東海大学, 医学部, 助手 (90297226)
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キーワード | エキシマレーザー / 腱 / PET樹脂 / コラーゲン / 光化学的表面改質 / 毛細管現象 / 親水性基 / アキレス腱 |
研究概要 |
高齢化、交通事故、スポーツ等による損傷が、手術後のリハビリに授時間を要するのが現状である。そこでエキシマレーザーの光化学的性質を生体組織の接合に利用することによって、軟部組織損傷患者の修復部における初期強度を増幅させ、超早期リハビリテーションを通じて、全ての年齢層にわたり、早期の退院、社会復帰、スポーツ復帰等を可能にする事が本研究の目的である。 1)人工靭帯材料と骨との接合:一般の人工靭帯にはメッシュ状のPETが使われている。しかしPETとコラーゲン繊維との接合は非常に弱い。そこでPETシート表面の親水性を向上させる為に、生理食塩水および5%グルコース水溶液の存在下でエキシマレーザー光を照射し、材料表面にOH基を置換した。そして親水性の指標である水との接触角を70度から30度まで向上させ、この試料片を兎の背部皮下に移植した。3週間後試料を取り出して、電子顕微鏡観測を行ったところ、レーザー照射面のみ組織接着の初期指標である白血球の集族を確認した。他方レーザーによって親水性化処理を施した試料表面に、コラーゲン繊維化細胞を吸着させる目的で、膠を塗布した後、接着強度試験を行ったところOHの置換密度に比例して強度が著しく向上し、その強度は未処理の約10倍であった。 2)アキレス腱の直接接合:成兎を静脈麻酔にて麻酔しアキレス腱部分を展開し、腱断裂モデルを作成後、腱切断端に生理食塩水の存在下でエキシマレーザー光を照射し、腱断端同士を糸で吻合した。数週間後アキレス腱を摘出し、肉眼的・組織学的にレーザー照射の有為性を確認しているが、その有意さは現在のところ、わずかである。他方腱切断面のレーザー照射前後の化学的変化を比較する為に、顕微赤外分光(ATR-FTIR)を行ったところ、レーザー照射後の腱断端面から顕著なOH基が観察された。この事実はレーザー照射による親水化処理がアキレス腱の直接接合に有効である証拠であると考える。
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