研究課題/領域番号 |
12877243
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
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研究分担者 |
鍬方 安行 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50273678)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50196474)
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
精山 明敏 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70206605)
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301265)
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キーワード | 急性肺傷害 / 微小循環 / 生体顕微鏡 / 脂肪塞栓 / LPS / 白血球機能 / NF-κB |
研究概要 |
我々は、今まで困難とされていた呼吸中の肺微小循環及び、血球動態を生体顕微鏡を用い直視下リアルタイムに観察、その後画像解析により経時的変化を定量化できる画期的なシステムを開発した。今回(1)このシステムを用い、ラット肺障害モデルにおける、肺微小循環の経時的変化を把握すること(2)肺微小循環に影響を及ぼすと考えられる白血球機能、ケミカルメディエーターの役割に関し研究を行った。(1)急性肺傷害のモデルとしては、LPS肺傷害モデル、トリオレイン脂肪塞栓モデルを用いた。LPS肺傷害モデルにおいては、LPS投与急性期より肺毛細血管での白血球接着数の増加、血液流速の低下を認めた。この結果は、LPSによる肺傷害のトリガーとしての白血球の関与を裏付けるものであり現在さらなる検討を進めている。トリオレイン脂肪塞栓モデルに関して我々はこれまで摘出灌流肺を用い、急性肺傷害における白血球の関与を報告してきた。今回生体でのトリオレイン脂肪塞栓モデルの開発を進めている。トリオレイン投与により肺毛細血管に脂肪塞栓をおこすこと、肺毛細血管での白血球接着数が増加することは確認されさらなる検討を進めているところである。(2)活性化好中球は急性肺傷害の病態の首座と考えられる。全身性炎症反応時には好中球活性酸素産生能の亢進、好中球アポトーシスの抑制、好中球貪食能の亢進が観察された。熱ショック蛋白の研究では、全身性炎症反応時には白血球内でのHSP27,60,70,90の発現増加が観察された。また炎症反応に深く関与する核内転写因子であるNF-κBに関する研究では、全身炎症反応時には、白血球核内でのNF-κBの増加、またLPS刺激に対する反応性の増加が観察された。これらの研究より全身性炎症反応に伴う肺傷害においても熱ショック蛋白、NF-κBの増加に伴う活性化白血球の関与が重要と考えられた。
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