研究課題/領域番号 |
12877244
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
斉藤 洋司 島根医科大学, 医学部, 教授 (50162243)
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研究分担者 |
中谷 俊彦 島根医科大学, 医学部, 助手 (90237305)
宮本 寛 島根医科大学, 医学部, 助手 (20297005)
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キーワード | ダルタミン酸 / 中脳水道周囲灰白質 / 骨髄視床路 / マイクロダイアリシス / 疼痛制御 |
研究概要 |
神経刺激が上位中枢を介して下行性疼痛制御を行う神経回路の解明を行うことを目的として研究を行った。中枢水道周囲灰白質(PAG)は下行性制御系における主要な起始部であり、グルタミン酸の投与により下行性制御が賦活され鎮痛効果を示すことは知られている。昨年度までに我々は、PAGにおけるグルタミン酸量の測定を行い、tail-pinchによる末梢侵害刺激によりPAGにおけるグルタミン酸量が増加することを報告した。このことにより、末梢での神経刺激が下行性制御系を賦活することの要因の一つであることが明らかになった。今年度は、末梢神経刺激が伝わる神経回路を明らかにするため、脊髄-視床-PAGという回路を想定し研究を行った。 雄ラット(Sprague-Dawley)を対象とし、カイニン酸の視床投与による視床傷害群と生食投与によるコントロール群を作成した。末梢侵害刺激には20分間のtail-pinchを行った。PAGにおけるマイクロダイアリシスの灌流液中のグルタミン酸量を高速液体クロマトグラフ(HPLC)により測定した。サンプリングはPinchの前30分、中、後60分間、10分間隔で行った。またコントロール群および視床傷害群のラットの足底に熱刺激を加え、逃避反応が起こるまでの時間を測定するradiant heatin(RH)テストを行い、正常時、およびtail-pinch時における抗侵害受容効果を測定した。 コントロール群ではtail-pinchによる末梢侵害刺激によりグルタミン酸量が前値の145%まで増加したが、視床傷害群ではグルタミン酸量の増加は認められなかった。また同時に行ったRHテストでは、tail-pinch時にコントロール群では抗侵害受容効果(熱刺激に対する逃避反応時間の延長)が認められた。しかし、この抗侵害受容効果は視床傷害群では抑制された。以上の実験結果により、末梢での神経刺激が下行性制御系を賦活する要因のひとつであり、また末梢侵害刺激がPAGへ伝わる神経回路の中に視床が含まれる可能性を示唆した。
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