phage display random peptide libraryを坦癌マウスに静脈内投与し、腫瘍細胞と特異的に結合するペプチドをクローニングし、drug delivery systemとして利用する試みがある。本研究は、クローニングに際し、セミノーマの腫瘍組織そのものを利用する独創的な試みである。セミノーマと特異的に結合するペプチドのクローニングは達成されると思われ、他の癌腫においても応用可能な新しい方法として期待される。 本年度は下記の研究を行った。 i)phage disply random peptide libraryの作製 アミノ酸6個及び7個からなるphage disply random peptide libraryのを作製した。 ii)セミノーマの培養細胞株樹立。 セミノーマ培養細胞株は既に樹立されているTcam-2およびJKT-1を譲り受けた。 iii)セミノーマに対する精巣摘出術時、精巣動脈へのカニュレーションの可能性の検討。 セミノーマに対する高位精巣摘出術施行後、精巣動脈へのカニュレーションを試みた。 精巣摘出後直ちに摘出標本をon iceとし、23G静脈内留置針の外筒を精巣動脈から挿入し留置を試みた。最初の2例は留置不可能であったが、3例めからは留置可能となった。その後、残存血液を生理食塩水で洗い流しrandom peptide libraryの注入が可能なことを確認した。 現在、以下の項目について検討中である。 iv)精巣腫瘍摘出直後にphage disply random peptide libraryを精巣動脈から注入し、腫瘍組織に結合したphageを回収する。
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