研究課題
日本における子宮内膜症関連遺伝子を同定することを目的として、本研究を遂行中である。昨年に引き続き疾患群と対照群において子宮内膜症との関連が予想される遺伝子多型分析を行い、遺伝子型の出現頻度を比較検討している。これまで神戸大学で子宮内膜症として診断された138名、正常新生児140名の両親より本研究参加の同意が得られ、対象者から全血5-10cc採取した。血液検体よりQIAamp DNA Blood mini kitを用いてgenomic DNAを抽出し-80度で保存している。遺伝的多型分析は、昨年行ったCYP17遺伝子に続き、本年度はNAT2遺伝子に注目した。研究代表者は英国における本遺伝子多型と子宮内膜症の関係をすでに報告しているが、日本での成績についてはこれまで充分な検討がなされていなかった。本研究における疾患群の中から中等度-重症子宮内膜症群(n=100)を対象とし検討したところ、NAT2遺伝子型発現頻度は対照群と有意な差を認めなかった。日本における子宮内膜症はNAT2遺伝子と関連が少ない可能性が考えられた。また、日本人症例におけるNAT2遺伝子多型は、英国人症例に比し対照群における多型発現パターンの片寄りが少なく、NAT2が疾患感受性遺伝子でありながら統計学的に差がでなかった可能性も考えられた。一方、胎盤におけるEGF family発現に関して基礎的研究をすすめている。RT-PCR法、western blot法および免疫組織化学的手法を用いて、EGF familyに属するbetacellulinの胎盤における発現を初めて明らかにした。さらに、妊婦における血中insulin-like growth factor-I(IGF-I)濃度が、母体の栄養状態、特に母体の窒素平衡の変化によりどのような影響を受けるか、を明らかにし、報告した。
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