遺伝子を用いた実験であるので名古屋大学の遺伝子動物実験委員会に実験計画を提出、承認を得た。本年度はまず遺伝子が入っていない、からのリポソームをモルモットに投与し、聴力及び組織的変化について検討した。中耳骨包を開き、正円窓膜より10マイクロリットルのリポソームが入った液を注入し、1週間後に聴性脳幹反応(ABR)、耳響放射(OAE)及び組織学的変化を調べた。その実験で聴力の低下が確認されたが、これはリポソームの影響というよりは10マイクロリットルの液の注入そのものの影響と思われた。現在実験を継続しているが10マイクロリットルといえども蝸牛にとっては大量であり、これを一度に注入することは影響が大きいと考えられた。現在、蝸牛鼓室階の骨壁に穴をあけて、その部を経由してオスモティックポンプによりゆっくりと注入していく方法についても実験準備を行っているところである。 平成13年度は、直接注入法、オスモティック注入法による両者を用いてベータガラクトシダーゼを産生するLACZをmarker geneとして、その分布、ならびに聴力への影響を調べる予定である。
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