研究概要 |
1)聴力正常動物として成熟CBA/Jマウス、および加齢に伴って難聴を呈する動物としてDBA/2Jマウスを用いて、それぞれの内リンパ電位の測定を行った。いずれのマウスにおいても明確な内リンパ電位の低下は観察されず、DBA/2Jマウスにおいても一旦は正常なイオン輸送機構が樹立されることが判明した。 2)C57BL/6Jマウスの内耳を形態学的に詳細に解析した。加齢に伴いラセン靭帯fibrocyteの数の減少が観察され、蝸牛外側壁におけるカリウムイオン輸送機構の障害が示唆された。また、電子顕微鏡的解析により有毛細胞の変性、脱落が観察され、このstrainにおいて明らかな内耳障害が惹起されていることが確認された。 3)免疫組織化学的手法を用いて、CBA/Jマウスにおいてconnexin26,Na,K-ATPase,Na-K-Cl cotransporter,Kv3.1bの発現がみられることを明らかにした。今後、この基礎的データを元にして、CBA/J,DBA/2J,C57BL/6Jマウスにおける加齢に伴ったイオン輸送機構の障害の有無を詳細に解析していく予定である。
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