研究概要 |
I.口腔癌培養細胞株のEpstein-Barrウイルスに関する検索: 口腔および舌粘膜の扁平上癌由来の細胞株(HSC-2,HSC-3,HSC-4)と我々が樹立した口腔扁平上皮癌の細胞株(MISK81-5,sMISK)について、polymerase chin reaction(PCR)とsouthern blotting法にてEpstein-Barrウイルス(EBV)感染を検索した。その結果、いずれの細胞にもEBVの存在を認めなかった。現在、同細胞株におけるCD21(EBVレセプター)についてmRNAおよび蛋白レベルで検索している。 II.組換えEpstein-Barrウイルス粒子の作製: B95-8株において産生されたwild typeのEBV粒子を、上記の口腔および舌粘膜の扁平上癌由来の細胞へ感染させる実験系では、EBV感染細胞の選別方法に問題が生じる事が明らかである。そこで、この問題を解消するため、zeocin耐性遺伝子とレポーター遺伝子としてのGreen Fluorescent Protein(GFP)を合わせ持つプラスミッド(PTracerTM-SV40,Invitrogen社)より同部位を制限酵素Pgl IIならびにBsp DIでカットし、zeocin耐性・GFP遺伝子を得た。BamH I制限酵素により得られたチミジンキナーゼ(TK)遺伝子を含むEBVフラグメントのSma I制限酵素での切断部位へzeocin耐性・GFP遺伝子挿入し、zeocin耐性・GFP遺伝子を含むEBVフラグメントを得た。現在、そのフラグメントDNAを入れたプラスミッド(pcDNA3.1(+),Invitrogen社)をエレクトポレーションにてB95-8細胞へ導入し、wild typeのEBV DNAと相同組み換えすることによってGFP発現EBウイルス粒子を作製している。B95-8株EBVでは約13kbが欠失しているが、Akata細胞は完全なDNA配列をもつEBVを産生するので、今後、Akata株EBVも検索していく。
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