ヒト歯肉組織より線維芽細胞の培養系を確立し、培養マクロファージ(RAW)細胞系と個別、あるは、共培養することにより、炎症刺激が両者の細胞内たんぱく質機能の変化を細胞死という形でとらえた。 リポポリサッカリド投与による炎症刺激では、歯肉線維芽細胞の単独培養では影響を受けなかったが、マクロファージと共培養した場合は、たんぱく質のニトロ化により誘導された線維芽細胞の細胞死が認められた。一方、一酸化窒素ドナーやペルオキシナイトライトおよびそのドナーの投与で検討した場合、線維芽細胞単独でも細胞死が認められた。 さらに、RAW細胞では、リポポリサッカリド刺激により、一酸化窒素合成酵素の誘導が増加し、一酸化窒素の産生量の増加に伴う、ペルオキシナイトライトが形成され、これが自らの細胞内のたんぱく質ニトロ化を、さらに、共培養した歯肉線維芽細胞内のたんぱく質のニトロ化をきたすこと、また、それがたんぱく質の機能障害から細胞死につながることが明らかとなった。
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