研究概要 |
1.細胞死誘導因子をコードする遺伝子のクローニング Actinobacillus actinomycetemcomitans(A.a.)血清型a,Bacteroides forsythusの2菌種の染色体DNAを分離後、Sau3AIで部分消化した断片を用いてライブラリーを作製した。現在、細胞死誘導因子をコードする陽性クローンの単離を試みている。 2.口腔癌細胞株に対する当該因子の作用 扁平上皮癌由来の樹立化細胞であるKB,ZA,HOC313細胞にA.a.血清型a,B.forsythusの超音波破砕物を48時間作用させWST-1アッセイを行ったところ、濃度依存的に細胞死が誘導され、血球系、上皮系の細胞の他に扁平上皮癌においても細胞死の誘導が認められた。従って、本因子はヒトに共通なレセプターを介するか、非特異的に細胞を障害すると考えられる。 3.細胞死誘導因子の精製 A.a.血清型aの超音波破砕物をDEAE Sepahroseカラムを用い精製し、各画分を濃縮、稀釈系列を作製後、HCT116細胞とKB細胞に48時間作用させ、WST-1アッセイにより細胞死誘導活性を検定した。その結果、400mM NaCl画分に細胞死誘導活性が認められた。さらに、本分画をPhenyl sepharoseカラムにより分画したところ、1.9-1.05M硫酸アンモニウム濃度の画分に活性が認められた。 4.予備的実験としてNFkBのA.a.血清型a,c,B.forsythusによる転写誘導活性を超音波破砕物を用いて調べたところ、A.a.血清型a,cには検出されたが、B.forsythusには検出されなかった。
|