研究概要 |
光重合型レジンの表層には,大気中に存在する酸素によって重合阻害を受けた低(未)重合層があり,この層は着色あるいは摩耗を受けやすい層として修復物表面に欠陥として存在している。したがって,良好な修復物の予後を得るためには,この層を形態修正あるいは研磨時に除去することが重要であるものの,その確実な処理方法あるいは解決策についてはいまだに明確ではない。そこで,レジン修復物表層に存在する低重合層を除去する臨床手法の確立に関する研究として,とくに酸素不透過性樹脂に着目し,レジン充填時に使用するマトリックスとしてこの酸素不透過性樹脂を応用する可能性について検討することを目的とする。すなわち,一般食品工業界で使用されている様々な酸素不透過性樹脂を用いて,レジン表面に圧接子としてこれらを用いた場合の表面性状の変化を,ヌープ硬さ,表面摩耗あるいは表面着色量などをパラメーターとして検討を加え,その効果を検討する。 表面物性の測定に先立ち,供試するフィルムの光線透過率をラジオメーターで確認する。内径4mm,高さ2mmの円筒形テフロン型を用いて,これにレジンペーストを填塞,各種酸素不透過性フィルムを用いて加重5Nで加圧,成形を行う。次いで,製造者指示に従って光線照射を行い,これを重合,硬化させる。表面物性の指標として光重合型レジンの縦断面におけるヌープ硬さ,表面の歯ブラシ摩耗量および表面の着色性について検討する。
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