本研究においては、まずスポーツ外傷の現状を国内の主な大学あるいは病院にアンケート調査して統計的な分析を行う準備を行い、一部その調査を開始した。受傷から骨折、破折等の障害の発生までの過程のメカニズムについて明らかにするために、事故発生時の際の状況とその後実際に生じた障害との関係についての分析を行っているが、特に受傷状況の詳細が聞き取りできる場合にはこれ詳細に検討している。また受傷状況を分析して、事故発生時の際の状況とその後実際に生じた障害との関係について、二次元ならびに三次元の有限要素モデルを応用したコンピュータモデルを作成して、その発症過程を生体力学的に分析する準備段階に入っているとともに、実際の頭蓋骨と歪みゲージを用いた実験を奨めている。これらの研究においては、既存の側貌X線規格写真ならびにCTのデータから二次元ならびに三次元の有限要素モデルを作成するための基礎データを得た。また同時に行ったMRIを用いた研究からは、予防素材を上下顎間に介在する場合、その厚みが安静空隙内であれば、下顎頭と関節円板との関係に影響を与えないことが明らかになった。これらの結果を用いて、次年度には障害を最少限度に食い止めるための効果的な予防方法(マウスガード、マウスピース等)の材質、形態をコンピュータモデル上で検討する予定としている。また同時に、マウスガードの装着が発音に与え影響について音声解析の手法を用いて解析したが、その結果からはマウスガードの適合性、デザインを考慮すれば発音への影響を最少限度に止められることが明らかになった。
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