研究課題/領域番号 |
12877325
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 実 名古屋大学, 医学部, 教授 (00151803)
|
研究分担者 |
畠 賢一郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80293710)
水谷 英樹 名古屋大学, 医学部, 助教授 (30167663)
|
キーワード | 培養粘膜上皮 / 高分子化合物 / 上皮欠損創 / 移植方法 / ゲル状基材 / 培養表皮 |
研究概要 |
本研究の目的はわれわれが多くの臨床応用を通じてその有用性を報告してきた培養粘膜上皮の新たな移植方法の検討にある。通常、培養上皮は細胞のみ培養しを重層化させることで作製されてきた。しかし、完成した培養上皮のシートは脆弱であり、その取り扱いには熟練を要する。そこで、新たな培養皮膚として、培養上皮細胞をゲル状の基材に混入し塗布する方法およびシート状の高分子化合物上にて上皮細胞を培養し、シート状の高分子化合物上ごと移植する方法の確立を目指した。 1.表皮細胞および口腔粘膜上皮細胞のシート状高分子化合物との親和性 上皮細胞との親和性の向上のため、高分子化合物シートの表面性状の改善方法を検討した。様々な高分子ポリマー(ポリスチレン誘導体に各種の糖鎖を付加)で培養器をコーティングし、上皮細胞の接着性および増殖能の制御を行った。はじめに培養器表面を修飾できる様々な糖鎖の検討を行った。この結果,、in-vitroの検討において各種糖鎖と細胞の反応を観察し、いくつかの糖鎖によって細胞の接着能が亢進したものや、増殖能が高まったものが明らかとなった。また、形態学的に明らかに各種糖鎖による差異を認め、これらの基礎的研究は以後のシート状高分子化合物の選択、開発に有用であると考えられた。 2.細胞を混入する基剤の選択および開発 基材の条件として細胞を混合し創部に塗布した後、創部を保護するため硬化することが望ましいと考えた。そこでフィブリンなど硬化性の基材を選択し、上皮細胞の混合方法を検討した。また、動物の背部に作製した皮膚欠損層に対する治癒促進効果を検討した。その結果、上皮細胞を混合した基材を塗布した皮膚欠損層においては創閉鎖の促進が観察された。この閉鎖がいかなる起序によるものかを検討するため、13年度以降組織学的な検討を行っていく予定である。また、基材の条件も引きつづき検討していく。
|