研究概要 |
申請者らが先に開発したX線カメラの歯牙切片試料ホルダーを改変し,歯牙切片と反応溶液を封入可能なホルダーを開発した。同ホルダーでのマイクロラジオグラフの最適撮影条件は,試料切片の厚さ:150-400オm,管電圧:25kV,管電流:24mA,X線照射時間:14秒であった。この条件で反応溶液として0.1M乳酸溶液を適用した結果,健全状態から脱灰が進行する過程のマイクロラジオグラフを連続的に,最短30秒間隔で長期間にわたって撮影可能であることが確認された。この検討結果から,マイクロラジオグラフ連続撮影と定量的な解析が可能であることが確認されたことから,次に反応溶液が歯牙切片周辺を通過可能なフローセルタイプの試料ホルダーを開発した。同様の脱灰実験をフローセルで行い,得られたマイクロラジオグラフの8bitデジタル画像(TIFFフォーマット)から,独自に開発したソフトウエアによりミネラル濃度を計測した結果,従来のマイクロデンシトメーターによる計測と誤差のないミネラルパラメータ計測値(脱灰深度1d,ミネラル喪失量ニZ)が得られることが確認された。また,画像計測による計測解像度は1.28オmで,光学的なデンシトメーターの解像度(4-6オm)よりも高精度であった。本年度で条件の最適化が完了したことから,今後,このフロ-セルに各種反応液を適用して,様々な条件別に脱灰・再石灰化状態を定量的なミネラル等価画像のムービーとして経時観察する予定である。
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