研究概要 |
HIV-Cell融合段階の動的分子機構において重要な役割を担っているgp41由来のN-末端側ペプチドN-36およびC-末端側ペプチドの相互作用における構造生物学的アプローチにより下記の成果を得た。 1)Peter Kim.博士らにより報告されているN-36及C-34両分子の生物構造学的研究を参考にして、一連の新規C34誘導体をde novo設計・合成した。特に、分子設計に関してはGlu, Lysの側鎖官能基間の塩橋形成をデザインコンセプトとして、水溶性およびα-helix形成能の向上を計った。その結果リード化合物に比べて1000倍以上の高い溶解性と3-5倍の抗HIV活性(MAGI assay)を有する一連の誘導体(SC34EK, SC35EK等)を見いだすことができた。また超遠心やCD等の一連の物理化学的実験によりSC34誘導体のN-36ペプチドとの6-helical bundle形成能が抗HIV活性とほぼ相関することを明らかにした。 2)高い活性を有する一連の化合物を用いてN-36との6-helix bundle複合体の共結晶化を試みた。その結果、現在までに4種類の化合物に関して6角柱状の単結晶を得ることに成功した。そのうち2種類について強力な放射光(Spring 8)により、X-線解析に成功した。
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