研究概要 |
1)リポソームへの脂溶性薬物の吸着定数の測定法の開発.ビオチン/アビジンを利用してリポソームをカラムに固定化し,リポソームカラムを作成した.リポソームと相互作用しないで,かつ,光吸収のあるアザイドを流したときの溶離時間と相互作用する薬物の溶離時間から,薬物の吸着定数を求めることが出来るようになった.この方法で求めた値は,透析平衡で求めた値とよい一致を示した.ついで,溶離曲線の広がりから,リポソームへの薬物の吸着および脱着の速度定数を求める方法を考案した.次年度は,種々の温度のもとで実験を行い,ΔH,ΔS等の吸着の熱力学的数値を算出し,疎水性相互作用を検討する. 2)滴定型カロリメトリーでのリポソームと薬物との相互作用の測定法の開発.滴定型カロリメトリーの装置で,リポソーム懸濁液に薬物を滴下して発生する熱より,吸着のΔHおよび吸着定数を求めようとした.種々の実験を行ってみると,ある問題があることが判明した.それは,リポソームに既に薬物が吸着していて,それに薬物を更に添加すると,求めたいリポソーム/薬物の相互作用以外に,薬物間の相互作用が加わって実測されることである.この問題を解決し,正しいΔHおよびΔGを求める方法を開発した.次年度は上記1)の結果と比較検討し,薬物のリポソーム膜への吸着の疎水性相互作用を考察する.
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