1.インターフェロン誘導性の転写因子であるIRF-1(interferon regulatory factor-1)の選択的分解の機構について解析した。最初に、ユビキチン-プロテアソームシステムがIRF-1の分解に関与するか否かを調べた。そして、HeLa細胞およびNIH3T3細胞において、プロテアソーム阻害剤の処理により特異的に、IRF-1タンパク質の安定化が観察された。また、COS7細胞における強制発現実験から、IRF-1がマルチユビキチン化の修飾を受け、26Sプロテアソームによって分解されることが明らかとなった。2. 次に、IRF-1の寿命を規定する領域を同定する目的で、IRF-1の欠失変異体を作成して安定性を調べた。そして、C末端39アミノ酸を欠失させたIRF-1(1-290)が著しく安定化されることが明らかになった。また、不安定性を規定する領域を含むIRF-1(285-329)を、安定なタンパク質であるGFPのC末端側に融合させて安定性を解析したところ、インタクトなGFPと比較して、融合タンパク質が極めて不安定であることが明らかとなった。以上の結果から、C末端側領域(291-329)がIRF-1の寿命を規定する領域であると結論した。3.現在、IRF-1のユビキチン依存的分解を制御する因子を同定するために、Yeast two-hybrid systemを用いてIRF-1結合タンパク質の探索を行っている。4.他の転写因子の選択的分解機構についても解析を進めている。
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