研究課題/領域番号 |
12877357
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関水 和久 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (90126095)
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研究分担者 |
久保 健雄 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (10201469)
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キーワード | 消毒剤耐性 / 黄色ブドウ球菌 / MRSA / オキサシリン / βラクタム耐性 / ベンザルコニウム / ショットガンクローニング / クローニング |
研究概要 |
本研究計画は、消毒剤耐性を獲得したメシチリン耐性黄色ブドウ球菌MRSAの中に、オキサシリン等のβラクタム耐性となるものが出現する、という研究代表者らの知見に基づき、新しいβラクタム耐性を導く遺伝変異を同定することを目的として立案された。まず、消毒剤であるベンザルコニウム耐性MRSAを分離すると、寒天培地上で小さなコロニーを形成する、増殖の遅い株が得られるが、それがオキサシリン耐性を示すことが分かった。この株は培養過程で容易に抑圧変異を獲得し、見かけ上自然に増殖が速くなるが、それと同時にオキサシリン耐性も失われる。したがって、オキサシリン耐性と、増殖が遅いという、二つの形質は、同じ遺伝子変異によっていると考えられる。本研究においてはこのオキサシリン耐性変異をショットガンクローニングすることを検討した。現時点では残念ながら消毒剤耐性変異を有するMRSAからβラクタム耐性遺伝子をクローニングできていないが、研究の実施過程で明らかとなった知見について報告する。RN4220株のように実験室で用いられる黄色ブドウ球菌は容易にpND50のようなブラスミドで、エレクトロポレーションにより形質導入が可能であるのに対し、臨床で分離されるMRSAは、そのほとんどが形質転換体を得ることが極めて困難である。本研究では、MRSAをEMSにより変異原処理し、さらにリゾスタフィンで処理することによりpND50形質転換体を得た。得られた形質転換体からプラスミドをエチジウムブロマイド処理することにより除くと、形質転換能が高い変異株を得ることができることを明らかにした。この手法はMRSAに対し、ショットガンクローニングを実施ずるうえに有効であると考えられる。
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