研究概要 |
1,海棲無脊椎動物中のD-乳酸の代謝と分布:(1)様々な海棲無脊椎動物についてD-乳酸含量を測定した。その含量は軟体動物の頭足類(イイダコ、ベカ)に多かった。次にゆむし動物門にも多かった。ヒザラガイ、マツバガイにもL-体より多く存在した。イソギンチャク、ヒラムシ、ヒモムシ、ゴカイ、ナマコ、ホヤ、にはL-体と共存していた。D-乳酸は動物に無い、微生物に存在するという文献の記載は訂正されるべきである。(2)頭足類の筋肉ではD-LDHしか存在しなっかた。(3)17日間絶食させたイイダコではFootとMantle中のグリオキサラーゼI活性は、それぞれ正常の1.2と2.0倍に、またグリオキサラーゼII活性は1.3 と5.5倍に上昇した。このことから絶食、飢餓時にメチールグリオキサール経路が活性化していることが分かった。この時、ピルビン酸キナーゼ活性から考えて、解糖経路は活性が変わらないことが分かった。(4)Octopus valgarisではD-乳酸はピルビン酸とメチルグリオキサールの両方からほぼ等量出来ている。(5)同上のタコのfootではD-乳酸の炭素源はトレオニンでその次にグリシンであった。どちらもブドウ糖より良い気質であった。 2.オクトピンの代謝:(1)タコではオクトピン脱水素酵素が有り、ピルビン酸はアミノ酸と脱水結合し更に還元されてオクトピンになる。絶食時タコではこの活性が上昇していた。(2)オクトピンをフェニルイソチオシアネートにより誘導体化して、それをHPLCで定量法を完成した。 3.ウズラではトレオニン脱水素酵素活性でトレオニンからD-乳酸が生成されていた。
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