研究概要 |
医学生および卒後研修医教育に於ける災害医療・災害医学教育は,現在座学によって行われているが,日常的に発生する事のない災害を想定した教育により実践的な医療を学ぶことは一般的な座学のみでは困難であることから,本研究ではコンピューターによりビジュアルでインタラクティブなシミュレーションを体験できる教育プログラムを作成し,この仮想体験から災害医療・災害医学について学習できるようにすることを目的としている. 本年度はこのプログラム作成の素材として,過去に本邦で起きた災害現場,災害訓練の静止画像や動画像をデジタル画像として処理保存し,これらの災害救助活動(医療面)の概要と各事例の問題点を分析記録した.また2000年3月に実際に起きた北海道有珠山噴火においては,現地の災害救助活動を実際に調査し,噴火のパターン,非難状況,地域的要素から,多数の負傷者が発生した場合を想定し,緊急治療を強いられる重症熱傷・多発外傷症例の救命のために,陸路や空路を活用した医療資源の現場投入方法,消防機関と連携したレスキュー,現場でのトリアージと一次搬送基準の作成,現地病院収容と航空機搬送を活用した負傷者の全国展開方法,インターネット等を活用した情報収集活動などを具体的に関係各機関とシミュレーションした.これを題材として理想的な医療活動のアルゴリズムを想定し教育プログラムを作成中である. 災害教育効果の判定に用いる標準的試験問題の作成のために,教科書的な災害関連の問題点を過去の災害事例の文献から分析した.
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