本年度は、計画通りに、ヒト静脈血より血球を採取、連続切片試料を透過型電子顕微鏡にて観察・撮影を行い、その写真を元に3D画像の作成を行った。当初、デジタイザにて細胞電子顕微鏡写真のデジタル化を行っていたが細かい点が採り難いなど操作性の問題からこれを中止した。代替策として、スキャナで画像として取り込んだものからソフト的に直接ドット採取を行えるシステムを開発し、これのドット情報を元に3D画像を作成することとした。教育的効果という立場から細胞3D画像をどこまで簡略化するかを検討した結果、細胞小器官の内部まで精密にドット情報を採取しこれで3D画像を構築したのでは画像が大きくなりすぎ細胞全体としての把握がしずらい、それに伴い細胞内反応の内容把握がしにくくなると考えられ"細胞小器官の細部までは表さない"程度の簡略化が適当と考えられた。特に細胞の断面画像を用いる場合は各細胞小器官各断面はそのスキャン画像を元にして作製したテキスチャを貼り付け細胞小器官内部を表現することとした。ただし、最終的に付加される細胞内反応によってはこの方法が適応できない可能性もあると考えられた。細胞骨格に関しては、細胞全体像からの画像からでは、これをつかむことは難しいので最終的に付加される細胞反応情報で細胞骨格が必要であると考えられるものに関してのみに狙いを絞り、対応する細胞小器官の高倍率画像を元にモデル化し表すものとした。このように作製した3D画像はVRML形式で保存し画像を自由に取り扱えるようにしたが、教育上効果がVRMLより期待出来る新しい形式、あるいは、場合によっては動画ファイルの作成も必要であると考えられたので現在3D画像をいずれ形式保存すべきかを検討中である。
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