研究課題/領域番号 |
12877384
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
伊藤 猛雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (70159888)
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研究分担者 |
鈴木 佳克 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (30254288)
藤本 征五 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (60079994)
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キーワード | 一酸化窒素 / 妊娠中毒症 / 耐性 / プロテインキナーゼC / 血管平滑筋 / 内皮細胞 / 血管弛緩 / 硝酸薬 |
研究概要 |
生体内で発生するNO耐性の新しい作用機序について検討するため、妊娠中毒症患者および正常妊婦の大網動脈血管を用いて検討を行っている。最近、妊娠中毒症では血漿中NO_2及びNO_3量が著明に増加しているという報告があり、我々もそれを確認した。このことは、妊娠中毒症患者で血管内皮由来NO生成量が増加している可能性を示唆する(しかしながら、妊娠中毒症血管の内皮細胞を用いたNO生成系変化に関する直接的な証明はない)。また、我々はNO-donorによる抵抗血管の弛緩反応が妊娠中毒症患者では著明に減少していることを見いだした。これらの結果より、妊娠中毒症患者で見いだされたNOの弛緩反応減少(NO耐性)は内皮細胞由来NOの生成増加により発生し、この耐性がこの病態の進展・増悪化に何らかの役割を有している可能性が示唆される。我々は、妊娠中毒症患者および正常妊婦の大網動脈におけるNO合成酵素(NOS)の量的変化について、eNOS抗体を用いたwestern blot法により検討し、eNOS発現量は正常妊婦と妊娠中毒症患者で有意に異なっていないことを見いだした。現在、蛍光を用いたNO測定法とスーパーオキシド生成系により、妊娠中毒症血管で実際NO生成系、およびNO分解系の変化が発生しているか否かについて検討を進めている。さらに、妊娠中毒症患者および正常妊婦の大網動脈において、cGMP依存性プロテインキナーゼ(PKG)の抗体(現在作製中)を用いたwestern blot法あるいは免疫組織学的方法によるPKGの発現系の変化についても検討していく。また、PKC活性化薬及びPKC抑制薬を用いることにより、NO耐性におけるPKCの役割についても検討を加えていく予定である。
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