研究概要 |
1.幼児期にある両親の子育て観調査の分析 「家族全体の健康」の明確化に向けて,愛知県N市,T市の603組を対象に,平成12年6月〜7月に実施した「健常幼稚園児をもつ両親の『子育て観』に関する調査」の結果を分析した。0〜3歳の乳幼児をもつ専業母親の子育て観尺度(CPS-M97)を用いて因子分析を行なった結果,父親と母親の因子構造には相違が認められた。母親における『子育て観』の下位概念は,「子育て満足感」「子育て負担感」「子どもイメージ」「子育てに対する態度」の4因子であった。一方,父親においては「子育て満足感」「子育て負担感」「子どもイメージ」の3因子に集約されていた。父親の育児参加が少ない現状を反映したものと考えられるが,今後は,母親にはない父親独自の子育て観について,探索的研究を行なう予定である。 2.発達障害児をもつ家族の強みに関する研究の調査 家族の強みを測定する試験的尺度「家族の強み尺度」を作成し,平成13年5月から,難治性てんかんなどの発達障害のある子どもを養育する家族98組を対象に調査を開始した。調査内容は,試験的尺度「家族の強み尺度」の他,家族機能尺度(家族環境尺度,FACESKEIV-16)についても併せて実施しており,障害児の親の会などの協力を得ているが回収数は54組(回収率53%)である。また,一部の家族に対して,半構成面接による質的探索的研究を行なっている。今後は,面接事例を増やすとともに,質問紙調査の対象も広げてデータを収集し,家族全体の健康を促進するモデル構築の資料としていく予定である。
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