平成12年度研究目標:在宅療養者にとって在宅ケアがどのように体験されているかを明らかにする。 研究方法: 1)研究対象 本研究の主旨を承諾し協力が得られた訪問看護を受けている在宅療養者2名及び訪問看護婦3名 2)データ収集方法 データ収集の手順として以下の過程を踏んだ。 (1)訪問看護婦に「言語的なコミュニケーションがとれ、現在自分が体験していることを自分の言葉で語れるであろう人」を選定してもらった。 (2)選定した患者・家族に対して、関わっている訪問看護婦から了解を得た後、研究者が直接連絡を取り家庭訪問してインタビューを行なった。インタビューでは、患者・家族に「現在受けている訪問看護について印象的なこと」を語ってもらい、関わっている看護婦には「患者への看護について印象的なこと」を語ってもらった。 (3)患者や家族、及び訪問看護婦のインタビューは、テープレコーダーに録音することの承諾を得た。 3)データ分析方法:インタビュー内容を記述し、研究者で読み文脈の中から体験している世界をできるだけ忠実に読み取った。再度読み取ったものを本人に返し、客観性を高めた。 研究結果と今後の計画:現象学的な方法を用いて分析をした結果、看護を受けている患者の「看護を受けている」体験と、看護婦の「看護を提供している」体験には、大きなずれがあった。今後さらに分析の客観性を高めるとともに、ずれているその体験(世界)をどのようにすり合わせ看護を提供し、また提供されているのか、そこでの自己決定のプロセスの構造を明らかにする。
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