研究概要 |
本年度は3段階で研究を進めた。(1)仮説2「介護疲労軽減行動モデル」の吟味:訪問看護ステーションおよび在宅介護支援センターのケアマネージャより,介護疲労が強いが在宅で継続して介護している家族介護者に研究協力を依頼していただき,半構成的質問紙によりインタビュー調査「介護疲労の認知,対応,その行動に影響していること」を実施。同時に,訪問看護者,ケアマネージャに対して,先の研究協力者の日頃の疲労対応行動のエピソードに関するインタビュー調査を実施。その結果,仮説2の中でも,特に,介護者の介護生活の中で感じている疲労への認知評価が疲労軽減行動の重要な鍵を握っていることが予測された。(2)文献検索:慢性疲労および疲労軽減行動,予防行動に関する文献を検索:介護疲労を自己評価する尺度が未開発であること,介護疲労軽減行動に関する研究は皆無であることがわかった。そこで,慢性疲労に関する研究文献から,慢性蓄積疲労徴候を自己評価する尺度を参考に,介護者用に簡略化した慢性疲労症状を自己評価するチエック表を作成した。先の質的研究と加えて,さらに,10名の家族介護者より疲労軽減行動を聞き取り調査し,疲労軽減軽減行動の試案を作成した。(3)実態調査:上記で作成した疲労症状チエック表,疲労認知評価,疲労軽減行動,関連要因をもとに,地域特性の異なる2地域;農村地域80名,山村地域80名の家族介護者を対象に,聞き取り調査を実施。介護生活の中で感じている疲労を「いつものこと」,「こんなもんだ」,「年だ」,「たいしたことない」と軽く認知したり,否定し,積極的な休養や対処をとっていなかった。また,この対応は若いときからの体力への自信と介護を他の家族にかわってもらえないという家族状況により,疲労軽減のための精神的・身体的休養を先送りさせていた。この対応行動の積み重ねにより,介護疲労が慢性疲労状態,病気へと発展しているごとが予測された。
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