意識障害患者は、JCS(3-3-9度方式)による10レベル、GCS(Glasgow Coma Scale)合計9点の患者を全8名選定し、基本味である甘味(砂糖)、塩味(塩)、酸味(酢酸)、苦味(コーヒー)を口腔舌上中央に1滴滴下し脳波5分間記録する。舌の味をふき取り次の味を注入するという方法を繰り返す。 結果については1例のみ分析終了した。基本味の中で最も活性波が高くでたのは、酸味であった。反応が低かったのは甘味であった。刺激前の脳波と比較して、各刺激後の反応は顕著に高くトータルパワーの違いをみせた。また、実験前後の変化率を分析したところ、徐波と正常波の違いについては脳底部において、トータルパワーは、徐波率が下降する傾向を示し、正常波率が顕著な高さを示した。更に大脳全体に対する反応としても正常波(α波・β波)が明らかに実験前と比較して高くなっていることが判明し、意識障害患者にとって味覚刺激は意識回復に何らかの貢献をしているのではないかと推測される。 なお、現在更に意識障害患者の実験例をふやしている。また、正常人(現在は2例のみ実験終了した。)との比較を行い変化についての妥当性を検証しようとしている。
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