1.ライプニッツの幾何学的解析あるいは位置解析において、17世紀末のイタリア旅行の際にボーデンハウゼン男爵の家で書いた手記は重要である。ライプニッツは日ごろからあたためていたアイデアを手記にするというよりも、思いついたことをその場で記すことが多いので、イタリア旅行で知り合った人物、あるいは知見が、ライプニッツにおいてどのような役目を果たしたのかを資料収集とともに調査した。この作業は当時のイタリアの数学者全体をも射程に入れなければならないので、ヤコブ・ヘルマンなどの著作も考慮に入れた。 2.またいくつかの手記のマイクロフイルムを入手し、それを読み、活字におこした。ただし判読が容易ではない個所が数多くあり、ライプニッツのほかの手記にも多くあたり、筆写文字を類推するように勤めた。 3.ライプニッツの位置解析はまた広く彼のあるいは当時の普遍学思想にも繋がるものである。しかしながら当時どのような関連する著作があったかに関しては今のところ十分研究されていない。したがって、当時の関連する著作、論文を目録などからリストアップし、そのいくつかに関して資料収集し、読み進めた。これには数学者のみならず、ウィルキンスなどの学者も含まれる。 4.ライプニッツの位置解析は死後忘れ去られ、後にオイラーやグラスマンによって再評価されることになる。したがって、後者二人がどのようにしてライプニッツのその思想に近づき得たかという源泉問題にも配慮し、調査した。
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