研究概要 |
現在,スポーツの歴史・文化情報は,関連博物館や資料館および協会や研究機関で保存されていると考えられるが,多くの情報は系統的に蓄積,提供されていない。このような状況において,近年のデジタル情報化の技術は,それらの情報を重要な文化資源や文化資本として再整理し,広く提供する可能性をもつ。 そこで本研究は,日本国内におけるスポーツの歴史・文化情報の量・質を把握し,それらの資源に対してデジタル資料化の可能性を踏まえながら,スポーツ歴史・文化情報提供システムの具体化のための課題を抽出することが目的である。 平成12年度の研究では、スポーツの歴史・文化に関わる情報データベースを構築するための基礎資料を得るために、国内のスポーツおよび遊び等に関する博物館の資料の蓄積・提供状況に関する現状調査を実施し,その実態を把握することを目的とした。研究当初は、この実態の把握のために質問紙法によるアンケート調査を計画したが、ディスカッションの結果,調査方法を修正し,博物館へ出向いての聞き取り調査(財団法人日本相撲協会相撲博物館,財団法人野球体育博物館,ミズノ・スポートロジーギャラリー,東京都江戸東京博物館)から現在のスポーツ歴史・文化資料の蓄積・提供の問題点を整理するとともに,全国の当該博物館(150件余)への電話による聞き取り調査を実施し,各博物館の歴史・文化資料の蓄積・提供状況についてのデータベース作成を試みた。多くの博物館,特に博物館法の指定のない団体では資料が整理されておらず,資料の分類・蓄積方法についても基本的課題があることが明らかになった。
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